2013年9月6日金曜日

【自転車漫画】作者 玉井雪雄 「かもめチャンス」1~18巻【競技自転車】



玉井雪雄といえば前作のSF新人類漫画を描いた「オメガドライブ」で有名だが、
「かもめチャンス」は、前作の内容とはガラリと変わり、
信用銀行に務める更科二郎が主人公。

父子家庭で幼稚園児の娘「ふくの」と二人で暮らしている。

ある日仕事中に、娘の通う幼稚園でちょっとした事件があり、
急遽幼稚園に向かう途中にロード自転車と出会い、
ロード自転車の世界に魅了されていく。

今作はオメガドライブの世界観とは全く違う。

作者の玉井雪雄さん本人がもともとロード自転車が好きという事もあり、
自転車に対して愛を感じる。

そして好き故の葛藤も描かれている。

それは社会人、そして娘のいる一児の父として、
会社勤めと自転車に徐々に魅了されプロの道との
狭間で苦しむ。

作中では勤め人としての日常と
自転車の上での非日常の対比がとてもおもしろい。

主人公の表情が全く違う。

つらそうな顔と楽しそうな顔という単純な違いではなく、
大人・父親の顔と少年のように夢中になった顔。

これはどちらがか良い顔という訳ではなく、
主人公の更科二郎にとって両方共大事。

二郎も迷いながら紆余曲折して、
時に自暴自棄になったりもしたが、
最終的に家族、自転車、そして社会人としての自分、
全てを選ぶ。

何かを得る為に何かを捨てるのではなく、
何かを得る為に、今あるものを大事にする。

かもめチャンスはこんな主人公の漫画。

そしてやはり自転車漫画なので、
自転車について語らずにはいられない。

自分は全くもって自転車に縁が無い人間だが、
この漫画読んで乗りたくなった。

スピード感だけではなく、
山岳地域でのチームの作戦では、
体力勝負だけでなく、頭脳戦の様相を呈する。

まさにレース中は手に汗握る転換で、
しっかりとカタルシスがある。

読みごたえがあって、続きが気になる作品。

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