2013年8月12日月曜日

【文学漫画】 押見 修造  「惡の華 」 1~7巻 中学生編



アニメ化もされ大人気の押見 修造作品「悪の華」

中学生という人間の成長過程で一番心身ともに不安定な時期。

その時期に主人公の文学少年の春日くんが仲村さんと出会う事により、
色々事件を一緒に起こしていく。



昨今じゃ読書は良いものと捉えられているが、
一方で文学及び書物がもつ「毒」については無視されがちである。

実際古今東西の名作と呼ばれる文学作品を
読んでみればわかるが、「毒」がある。

イケメンや美女が順風満帆な生活を描いた物語を読んで
誰がおもしろいと思うのか。

そこに何がしらの事件や事故が起こる事によって
初めて物語が進みだす。

知らず知らずの内に毒が盛られている。

そして主人公の春日君はそんな文学の毒におかされた文学少年。

仲村さんの強烈なキャラクターで、誤解されてしまいそうだが、
あくまで彼女の立場は「鍵」である。

沈殿した毒が一気に表へ吹き出す為の鍵。

溜まりに溜まった毒が仲村さんに出会った事で
覚醒してしまう。

そこには快楽があり、そして厭世感がつきまとう。

自分は一体何者なのか?
何で皆普通に日常を過ごせるのか?

中学生ならではの葛藤と文学の毒が混ざり合い、
二人は暴走しってしまう。

仲村さんも春日君と出会わなければ、
きっとあそこまでは暴走しなかっただろう。

仲村さんにとっても春日君は鍵であった。

日常の毒におかされた仲村さんにとって
春日君が持つ文学の毒が鍵になった。

実際にやっている事は陳腐な事だったりする訳だけど、
その奥に潜む、二人の心には救いが無い。

二人は強く望んでいるのだが、
一体何を求めれば良いのかもわかっていない。

苦しみぬいた末に、あの祭りの事件を起こす訳だが、
それも失敗してしまう。

二人は生きる事を強要され、さらなる苦しみに苛まれるのか。

案外高校生とか大学生になっちゃうと
すっかり忘れちゃって楽しめたりするのだが、
この二人に限っては、まぁそうならないだろう。

誤魔化しながらも渇望している、
ここではないどこかを。

たとえ求めるものが幸せをもたらすモノでなかろうと、
求めずにはいらなれない。

そんな二人の物語。

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