2013年11月6日水曜日
【少女漫画感想】いくえみ綾「潔く柔く」【映画化・男目線で感想】
映画化も決定し、既に公開されている、
いくえみ綾さんの「潔く柔く」。
「Cookie」(集英社)2004年~2010年まで連載、全13巻。
大好きな少女漫画家のいくえみ綾の長編シリーズ。
この漫画家さんの作品は男性でも楽しめる。
少女漫画にありがちな「恋愛」をモチーフにするのではなく、
いくえみ綾さんの漫画は「人間」そして「繋がり」が根底にある。
人との繋がりに置いて、自然に色々な感情が生まれる。
その一つが恋愛だったりする。
その根底があるからいくえみ綾さんの漫画は自然と読み進められる。
そして今回の「潔く柔く」も素晴らしい作品。
この漫画は、瀬戸カンナの物語。
幼馴染を高校時代に事故で亡くし、
カンナは心に癒えない傷を負う。
高校を卒業し、大学生になっても傷は癒えずに、
彼女の時間は止まったまま。
そしてカンナとハルタの関係する人物達がそれそれ主人公になる群像作品。
彼ら、彼女らは瀬戸カンナとハルタと何らかの形で繋がる。
カンナは癒されるのだろうか。
カンナの再生の物語。
いくえみ綾氏の作品全体に言える事だが、
一見恋愛漫画に見えて、
実際は「傷」、「癒」、「繋がり」、再生の物語である事が多い。
この「潔く柔く」も再生の物語である。
そして今作は「時間」を大切に描いている
カンナは社会人になり、ある出会いをする事により、またカンナの時間は進み出す。
カンナが癒えるのに7~8年の「時間」を必要とした。
カンナ編は高校編、大学編、社会人編とあるが、とても丁寧に描かれている。
そしてこの時間の長さがカンナの傷の深さをも表現している。
作者のいくえみ綾氏は我慢強くカンナの心を描いき、
時間をカンナに与えてあげている。
そしてその事で作品により一層の深みを与えてる
いくえみ綾氏のような「人間」を描く事が上手い作者の特徴でもあるが、
登場人物を焦らせない、そして時間を与えて、じっくり見守りながら描いている。
本当に素晴らしい作品です。
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